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汚部屋から脱出したい!第49章

152 :おさかなくわえた名無しさん:2005/04/03(日) 14:24:48 ID:GIowwizH
引っ越した先のぼろアパートには、ありがたくない先住者がいた。
戦災をのがれて生き残ったという、古き昭和の面影を残すこの建物にじつにぴったりな、 うらさびしいその存在。
荷物をはこびこむとき、そいつは部屋のすみに座ってうつむいていた。
かべのほうを向いて。まるで無言の抵抗をこころみるように。 こころのなかで、
「ごめんよ。君はもうこの世界の住人じゃないんだよ」 と、手をあわせながら作業をすすめた。
するといつもそいつは部屋にいた。かべのほうを向いて、かなしそうにしていた。
寝るときもそいつは部屋のすみっこにいて、べつになにか悪さをするわけでもなかった。
もしかしたら、部屋にいくらか残ったままだった、
そいつのものと思われる遺留品が心残りで、成仏できないのかもしれない。
残念だが、捨てさせてもらったよ。ちゃんとお寺で供養までしたんだよ。
しかし、そいつはくぐもった声で、
「ここはおれの部屋だ」 とくりかえし言うだけ。
「君はここにいちゃいけないんだ。君の帰るべき家は、」
と説いて、窓の外、空の向こうを指差すと、そいつは肩をゆらして泣きじゃくった。
そのとき、ハッとこころあたりがして、
引き戸をあけて廊下へとびだし、すすけた部屋番号の木札を見た。
部屋をまちがえてた。
ゴメン。ほんとにゴメン。なんてあやまったらいいのか。
すてちゃったよ、君のもの。どうしよう。

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